ボクシング世界ヘビー級ウシク選手が円熟の一撃で4団体統一返り咲き 実力差浮き彫りの完勝劇

2025.7.20

【©️Oleksandr Usyk】

7月20日、英ロンドンで行われた4団体統一世界ヘビー級タイトルマッチにて、WBA・WBC・WBO王者のオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)が、IBF王者ダニエル・デュボア(イギリス)に5ラウンドでKO勝利を収め、再び王座を統一した。

 

38歳のウシクにとって、この勝利は単なる王座返り咲きではなく、キャリア終盤における集大成のような試合となった。相手の若さとパワーを前にしても、経験と戦術で上回ったウシクは、的確なパンチと落ち着いた試合運びでデュボアを翻弄。第5ラウンドには2度のダウンを奪い、最後は冷静に左オーバーハンドで仕留めた。

両者は2023年8月にも対戦しており、その際もウシクが9回KOで勝利している。ただし、当時はデュボアのボディ打ちによりウシクが悶絶し、ローブローと判定されたシーンが物議を醸した。今回、ウシクはその疑念を払拭するかのように、明確な形で勝負を決めてみせた。

 

試合後、話題を呼んだのは、YouTuberからボクシング界に進出しているジェイク・ポールのリング登場だった。握手を交わした両者は、カメラの前でフェイスオフを披露。ポールの表情は硬く、ウシクは終始無表情で見下ろす構図となり、両者の力量差を象徴するような一幕だった。

ポールは試合後、自身のSNSで「ウシクを尊敬している。次は世界に向けてMMAの試合をする」と発言。これがウシクとの対戦を示唆するものなのか、それとも単なる話題作りなのかは不明だが、ボクシング界では冷ややかな声も多い。

「なぜMMAなのか」「そもそもウシクと戦うレベルではない」といったコメントが多数寄せられており、ファンの間ではこの“次戦の可能性”に懐疑的な見方が広がっている。

なお、ウシク本人は試合後、3度目の対戦となるタイソン・フューリー戦を希望しており、統一王者としての矜持を強調。実力と実績に裏打ちされた「本物のビッグマッチ」に焦点が当たるべきだという声が根強い。

【文:高須基一朗】