ボクシング那須川天心選手、IBFランキングで不可解な7ランクダウン─中谷潤人との“対決封じ”を疑う声も
ボクシング界で注目の那須川天心(26=帝拳)が、国際ボクシング連盟(IBF)の最新ランキングで、突如として7ランク降格するという不可解な事態に直面している。
7日(日本時間8日)に発表されたIBFバンタム級ランキングで、
那須川は前回の4位から一気に11位へと後退。
これにより、業界内では“恣意的なランキング調整”を疑う声が広がっている。
那須川は6月、有明コロシアムで行われた一戦で、当時WBA世界6位のビクトル・サンティリャン(ドミニカ共和国)と対戦。フルマークの判定勝利を収め、終始試合の主導権を握った。無敗の戦績を保ち、世界戦前哨戦としては申し分ない内容だったにもかかわらず、評価が大きく下がる結果となった。
特に物議を醸しているのは、WBC・IBFの2団体統一王者・中谷潤人(M.T)との対戦ラインが“潰された”可能性だ。那須川がIBF4位のままであれば、WBCとIBFの両方で挑戦資格を有するという極めて稀有な立場にあり、中谷との対決も現実味を帯びていた。しかし、今回の降格によって、IBF王座戦線からは事実上“除外”された形となる。
ある国内ボクシングジム関係者は次のように語る。
「天心と中谷という二大スターの激突は、あまりにも早すぎる。将来的な興行の選択肢を狭めるリスクを回避するため、団体サイドが政治的判断を下した可能性もある」
実際、IBFのランキングでは依然として1位と2位が空位となっており、無敗の那須川が繰り上がってもおかしくない状況にあった。それにもかかわらず、あえて“降格”されるという不可解な動きに、恣意的操作の疑念は拭えない。
一方で、那須川の世界初挑戦は11月末を軸に調整されており、
WBC王座決定戦が有力視されている。
これは中谷が来年5月にスーパーバンタム級での井上尚弥戦を見据え、王座返上が既定路線となっているためだ。こうした状況の中、IBF3位のホセ・サラス・レイジェス(メキシコ)が実質トップに、
同4位には井上拓真(大橋)が浮上。
日本勢同士のIBF内競争は一層激しさを増している。
ボクシングは本来、“リング上で語る”スポーツであるはずだ。
実力を証明した選手が説明もなく評価を下げられるのであれば、その根幹が揺らぎかねない。「那須川 vs 中谷」という日本ボクシング界の“黄金カード”を未然に封じるような動きが事実ならば、それはファンの期待を裏切る行為であり、
スポーツとしての健全性を損なう深刻な問題だ。
【文:高須基一朗】