世代交代のバトンは誰に託されたのか・・・『トイ・ストーリー5』でポテトヘッド夫妻が“新章”へ

2026.2.20

米ディズニーが現地時間2月19日、シリーズ最新作『トイ・ストーリー5』(7月3日日本公開)において、ミスター&ミセス・ポテトヘッドの本国版声優を刷新することを発表した。

30年近くにわたり世界中の観客に愛されてきた“おしゃべりな夫婦”は、ここでひとつの大きな節目を迎えることになる。


 

▪️受け継がれるレガシー!前任キャストの功績

ミスター・ポテトヘッドの声を務めてきたのは、辛辣なユーモアで知られる名コメディアン、ドン・リックルズ。
そしてミセス・ポテトヘッド役は、独特のハイトーンボイスで存在感を放ったエステル・ハリスだった。

リックルズは2017年、ハリスは2022年に死去。シリーズ第4作『トイ・ストーリー4』では、リックルズの生前収録音声を編集してキャラクターを登場させるという異例の措置が取られた。それは同時に、シリーズが“声”をいかに重要なアイデンティティとして扱ってきたかを示す出来事でもあった。

 

▪️新たな声、新体制での時代

最新作からミスター・ポテトヘッドを演じるのは、ベテラン声優でコメディアンのジェフ・バーグマン。
彼はアニメシリーズ『ルーニー・テューンズ』でバッグス・バニーやダフィー・ダックを担当し、声優界では“レジェンドの継承者”とも呼ばれる存在だ。

一方、ミセス・ポテトヘッド役には女優のアンナ・ヴォチーノが起用された。DCアニメ『バットマン:キリングジョーク』や、ゲーム『ファイナルファンタジーVII リバース』英語版など、アニメ・ゲーム双方で実績を積んできた実力派である。

単なる代役ではなく、“声の再設計”とも言える今回のキャスティング。制作側は、キャラクターの個性を守りながらも、次世代へと物語を更新する決断を下したことになる。

 

▪️テクノロジーとの対峙という新テーマ

『トイ・ストーリー5』では、ウッディたちおもちゃの前に“電子機器(タブレット)”という強力なライバルが立ちはだかるという。子どもたちの遊びが物理的なおもちゃからデジタルデバイスへと移行する現代において、これは極めて象徴的な設定だ。

ウッディ役のトム・ハンクス、バズ・ライトイヤー役のティム・アレン、ジェシー役のジョーン・キューザックら主要キャストは続投。さらに、最新型電子タブレット「リリーパッド」役として、グレタ・リーが参加する。

アナログとデジタルの対立は、シリーズが一貫して描いてきた“存在意義の揺らぎ”を、より現代的な文脈で描き直す試みとも言える。

 

▪️「声」が象徴するもの

『トイ・ストーリー』は1995年、世界初の長編フルCGアニメーションとして誕生した。革新的な映像技術と同時に、観客の記憶に深く刻まれたのは、キャラクターに命を吹き込む“声”だった。

シリーズ30周年を目前に控えた第5作でのキャスト交代は、避けられない世代交代であると同時に、IP(知的財産)の持続可能性を問う出来事でもある。

愛着と刷新。その両立は可能なのか。

ポテトヘッド夫妻の“新しい声”は、単なる変更以上の意味を持つ。
それは、長寿シリーズが時代とどう向き合い、いかにしてレガシーを未来へとつなぐのかという、ハリウッド全体が抱える問いの縮図でもある。