ぱんちゃん璃奈、初のヒジありREDで17歳の少女に完敗 “ムエタイの壁”に阻まれた引退ロードの現在地【KNOCK OUT】
12月30日、東京・国立代々木競技場第二体育館で開催された
「MAROOMS presents KNOCK OUT.60 ~K.O CLIMAX 2025~」。
注目を集めた第4試合、KNOCK OUT-RED女子48.0kg契約では、
2026年の引退を表明しているぱんちゃん璃奈選手が、17歳ですでに完成されているムエタイの実力者サネーガーム・サックチャムニに判定で敗れた。
“ヒジあり”REDルールへの初挑戦となった一戦だったが、結果は0-3の判定負け。首相撲とヒザを武器にした本場ムエタイの完成度の前に、最後まで主導権を握ることはできなかった。
▪️ムエタイ世界で磨かれたテクニックとの差
ぱんちゃんはKNOCK OUT-BLACK女子で二階級制覇を成し遂げ、立ち技格闘技界で確かな実績を築いてきた。一方のサネーガームは、17歳にして元プロムエタイ協会2階級王者で、IFMA世界大会を4連覇。
現在もラジャダムナンスタジアム女子ミニマム級ランキング9位につける現役トップクラスだ。
試合は開始から、その“経験値の差”が色濃く映し出された。ぱんちゃんはパンチで前に出る姿勢を見せたものの、サネーガームは右ミドル、前蹴り、首相撲からのヒザで距離と主導権を完全に掌握。パンチを打たせては組み付き、削るというムエタイの王道でペースを崩させなかった。
▪️攻めても、止められる
第2ラウンド以降、ぱんちゃんはカーフキックやインローを交えながら打開を図るが、踏み込むたびに前蹴りやヒザで迎撃される。組みの場面では一瞬押し倒す場面もあったが、流れを変える決定打には至らない。
最終ラウンドも状況は変わらず。パンチで前進すれば距離を切られ、ミドルをキャッチしてもすぐに離される。サネーガームは最後まで冷静に試合をコントロールし、
判定は29-30が2者、28-29の3-0。完勝と言える内容だった。
▪️引退を見据えた挑戦、その意味
試合後、ぱんちゃんはリング上で大きく肩を落とし、結果を受け止めるようにうなだれた。BLACKルールで輝かしい戦績を築いてきた一方、REDルールという異なる世界に足を踏み入れた今回の挑戦は、厳しい現実を突きつける形となった。
それでも、この敗戦は単なる黒星以上の意味を持つ。引退までの限られた時間の中で、あえて未知のルールに挑み、世界基準のムエタイと真正面から向き合った事実は、キャリアの終盤における「挑戦の証」とも言える。

