全日本フィギュア選手権フリーダンス 挑戦の一歩は確かな手応え―紀平梨花選手&西山真瑚選手が示した未来

2025.12.21

フィギュアスケート全日本選手権
兼ミラノ・コルティナ五輪最終選考会(21日、東京・代々木第一体育館)

結果は表彰台に届かなかった。

それでも、氷上に刻まれた挑戦の価値は確かだった。

アイスダンスのフリーダンスで、

紀平梨花選手&西山真瑚選手 組は86.97点、合計144.41点で4位。

結成から約2か月半という短い準備期間で、

全日本の大舞台に立ち、表彰台争いを演じ切った。


 

演技終盤、リフト直前のわずかな乱れ。

氷上を知り尽くす紀平選手にとっても想定外のミスだった。

演技後、リンクサイドで涙を流しながら

「私の踏みきりが失敗してしまった。練習ではなかったミスなので、すごく申し訳ない」と声を震わせた。

その言葉には、自身への悔しさ以上にパートナーへの責任感がにじんでいた。

だが、西山選手は違った視点でこの舞台を受け止めている。
「結成して間もない中で、全日本で表彰台を争えたこと自体が奇跡。ここまで持ってきた梨花ちゃんは本当にすごい」

シングルで全日本女王に輝いた2020年以来、5年ぶりの“全日本の表彰台”には届かなかった。しかし今回は、新たなフィールドでの再出発だ。

紀平選手自身も「一人じゃないからこそ、悔しさが大きい。ミスは許されない。これからもっと練習して、ミスなく滑れるようになりたい」と、次を見据えた。

涙は、失敗の証ではない。西山選手はそう断言する。
「涙を流せるのは、それだけこの競技、この全日本に本気で向き合ってきた証。本当はうれし涙を流させてあげたかったけど、次は必ずそうなるように頑張りたい」

短期間でここまで完成度を高めた事実は、今後への大きな可能性を示している。