大学女子駅伝=城西大が名城と立命館の牙城を崩す 25年ぶりVが示した「勢力図の変化」

2025.10.26

大学女子駅伝界に、新しい歴史が動いた。
第43回全日本大学女子駅伝(26日、宮城・仙台、6区間38km)は、

城西大学が2000年以来、25年ぶり3度目の優勝を果たした。

ここ数年にわたり“名城と立命館”の2強が支配してきた大学女子駅伝で、

関東勢が頂点に立つのは2002年筑波大以来23年ぶり。

勢力図の書き換えを告げる象徴的な一日となった。

 

■ルーキー3人が生んだ流れ 1区〜3区で区間新ラッシュ

レースは序盤から異例の展開だった。

気温15.5℃の冷たい雨のなか、1区(6.6km)では城西大の1年生・本間香選手が

名城と立命館の有力ランナーを次々と引き離し、21分04秒の区間新。

続く2区では主将・兼子心晴選手(4年)がさらに差を広げ、

3区の大西由菜選手(1年)も18分33秒で区間新記録を叩き出した。

チームは序盤3区間すべてで区間新記録をマーク。

新戦力の勢いと主将の安定感が融合し、序盤から“完全試合”のような展開を作り出した。

 

■中盤に乱れ、終盤に奇跡 “1分17秒差”を覆す金子の力走

4区・石川苺選手(3年)までは快走が続いたが、最長区間の5区で一転。

大東文化大の留学生ワンジルが驚異的なスピードで追い上げてトップを奪取。

タスキは大東文化が初めてアンカーへ渡すという波乱となった。

しかし、城西の4年生エース・金子陽向選手は焦らなかった。
6区(7.6km)でスタートした時点では1分17秒差。

常識的には逆転不可能とも言われる差だったが、

金子選手は冷静にペースを刻み、4.7km付近で2位に浮上。

残り1kmでついに大東文化・野田真理耶選手の背中を捉えると、

一気に抜け出した。
笑顔でゴールテープを切った瞬間、チーム全員が抱き合い、25年ぶりの頂点に立った。

 

■“名城と立命館の長期政権の時代に風穴 城西が示した新しいチーム像

大会を長年リードしてきた名城大は3位、立命館大は5位。

いずれも序盤で主導権を握れず、地力で押し切る従来の戦い方が通じなかった。

城西大の勝因は「個の力を全員で磨く育成型チーム」にある。

留学生に頼らず、1年生3人が区間新を更新した点は、強化体制の成熟を示すものだ。

関東勢としても、久々の全国制覇。長距離界の“西高東低”を覆す成果となった。

 

■金子選手「このチームで終われて幸せ」 涙の主将がつないだ新時代

レース後、アンカーの金子選手は号泣しながら語った。
「仲間がつないでくれたタスキを、絶対に無駄にしたくなかった。

このチームで終われて、本当に幸せです」

その言葉は、25年ぶりの優勝を越えて、

大学女子駅伝の新たな時代の幕開けを予感させるものだった。

 

【第43回全日本大学女子駅伝 対校選手権 上位結果】
1位 城西大学
2位 大東文化大学
3位 名城大学
4位 東北福祉大学
5位 立命館大学
6位 大阪学院大学
7位 筑波大学
8位 福岡大学
――以上、シード権獲得――
9位 順天堂大学
10位 日本体育大学