井上尚弥選手との対戦は“順番待ち”状態・・・WBA王者ニック・ボールに指名試合指令 元2階級王者フィゲロアと先に激突へ

2025.10.14

【©️Queensberry Promotions】

「モンスター」井上尚弥(大橋)との夢の対戦がささやかれる中、

現WBA世界フェザー級王者ニック・ボール(英国、28)は、

まず大きな関門を突破しなければならなくなった。

WBA(世界ボクシング協会)は10月13日、

ボールに対し、同級1位で元世界2階級制覇王者の

ブランドン・フィゲロア(米国、28)との指名試合を

実施するよう正式指令を下した。

これにより、ボールは当面、フィゲロア戦の交渉・実施を最優先する必要があり、

井上尚弥戦は“順番待ち”の状態に入った。

 

■WBAが「まずはフィゲロア戦を」と明示

 WBAの公式発表によると、両陣営は11月12日までに交渉を成立させなければならず、合意に至らなければ入札が行われる。

今回の指令により、ボールが次戦で井上尚弥選手と拳を交える可能性は事実上消滅した。

ボールは、これまでに3度の防衛を果たし、戦績は23勝(13KO)1分け。

強打と手数で知られ、英国メディアは「ボールは井上戦を熱望している」と報じてきたが、現実には団体の義務試合を飛び越えて井上戦に進むことは不可能となった。

 

■井上は年末に防衛戦、中谷戦を経て来年以降に階級転向か

一方の井上尚弥選手は、年末12月27日にサウジアラビアでWBC世界スーパーバンタム級1位アラン・ピカソ(メキシコ、25)を相手に防衛戦を予定している。
26年5月には元世界3階級制覇王者・中谷潤人(M・T、27)とのビッグマッチが控え、少なくとも来春まではスーパーバンタム級に専念する見通しだ。

このスケジュールを踏まえると、井上のフェザー級転向が実現するのは早くても26年後半以降。

仮に転向しても、ボール対フィゲロアの勝者がまず指名防衛を終える必要があり、井上との対戦実現はその後になる。

 

■フィゲロアは実績十分、井上とも縁深い相手たちと激闘

フィゲロアは、元WBA・WBCスーパーバンタム級および元WBCフェザー級王者。21年にはルイス・ネリ(メキシコ、30)との2団体王座統一戦を7回KOで制し、続く同年11月にはスティーブン・フルトン(米国、31)と王座統一戦で激闘を演じた。
いずれも井上選手が後に撃破した相手であり、井上との“間接的な因縁”を持つライバルでもある。

 

■井上戦へ実現は来年以降の情勢次第

ボールとフィゲロアの一戦は、フェザー級戦線の趨勢を左右する注目カードだが、同時に「井上尚弥戦への遠回り」を意味する。
井上尚弥選手が中谷潤人戦を終え、階級を上げる頃には、フェザー級では指名試合や統一戦が複数進行している可能性が高く、両者の対戦は少なくとも1年以上先とみられる。