RIZIN 萩原京平選手が背負う「敗者の物語」それでもリングに立ち続ける理由と覚悟

2026.4.5

【©️RIZIN】

4月12日にマリンメッセ福岡で開催されるRIZIN LANDMARK 13で再起戦に臨むのが、萩原京平選手だ。

4月4日に公開されたRIZIN公式YouTube『RIZIN CONFESSIONS』では、萩原選手が現在の練習状況や心境、そして今後の目標について語っている。対戦相手はハワイ出身の激闘型ファイター、アバイジャ・カメオ・メヘイラ。圧力と手数を武器とする危険な相手であり、再起戦としては決して楽な相手ではない。


 

萩原選手は昨年11月、若手機体のホープの一人である秋元強真選手との激戦の末にTKO負け。今回の試合は再起戦となるが、本人は敗戦を引きずるのではなく、むしろ糧にしている様子だった。
「自分が抜けていた部分を教えてもらって、少し繋がった感覚がある。それを次の試合で試すのが楽しみ」
敗戦を分析し、修正し、またリングに戻る。

このサイクルを回し続けることができる選手は、実は多くない。

そして彼は、秋元選手とパッチー・ミックスの試合を見たときの心境も率直に語っている。
「あの時、自分が勝っていたら、あそこにいたのは自分だったんじゃないかと思った。めちゃくちゃ嫉妬しました」

この“嫉妬”を正気な気持ちを吐露できること自体が、萩原選手という選手の最大の魅力かもしれない。

格闘技の世界では、選手は負けた瞬間に商品価値を失うこともある。

勝者だけが脚光を浴び、敗者は静かにフェードアウトしていく。

それが長年の格闘技界の常識で有り歴史でもある。

しかし、RIZIN Fighting Federationというイベントは、その構造が少し違う。

RIZINで人気を集める選手の中には、必ずしも無敗の最強選手ではなく、負けてもなおリングに上がり続ける選手が多い。
皇治選手、芦澤竜誠選手、そして萩原京平選手。

この1週間、この三人をRIZINはピックアップしている。
彼らに共通しているのは、勝敗以上に批判されようとも「物語」を背負っている点だ。

なぜ、負けても人気が落ちないのか。
なぜ、敗れても注目カードの一つとして起用され続けるのか。

そこには、RIZINというイベントの興行哲学がある。

RIZINの榊原信行CEOは、単純な勝敗のピラミッドだけで選手を評価しないことで知られている。負けた選手を切り捨てるのではなく、次の舞台を用意し、もう一度スポットライトの下に立たせる。時には厳しい言葉をかけながらも、選手のメンタルを支え、鼓舞し続ける。

格闘技の世界では、敗北は肉体よりも精神を壊す。
だからこそ、敗戦後にリングに戻ることができるかどうかは、選手個人の問題だけではなく、プロモーション側の姿勢にも大きく左右される。

言い換えれば、RIZINは勝者を作る団体というより、「スターを作る団体」だ。

そしてスターとは、必ずしも無敗の王者ではない。

負けても立ち上がる人間、感情を見せる人間、物語を背負う人間こそスターになる。

萩原京平選手も、まさにその象徴的な存在の一人だろう。

今回の試合の先に、平本蓮選手とのLMSタイトル戦の実現を目標に掲げている。
さらに、これまでも常にタイミングを見ては朝倉未来との再戦も視野に入れていることを宣言している。

「自分が平本に勝ったら、未来さんも平本より自分とやりたいってなると思う」

強気とも取れる発言だが、これもまた萩原選手という選手のキャラクターであり、ファンが彼に物語を重ねる理由でもある。

勝ち続ける選手は強い。しかし、負けても立ち続ける選手は、人の心を動かす。

再び物語の中心に戻ることができるのか!?


【文:高須基一朗】