「即断、即決だった」―松井裕樹投手が語ったWBC辞退の真相 左内転筋負傷で苦渋の決断
【©️San Diego Padres 】
3月に開幕するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を前に、日本代表に選出されていたサンディエゴ・パドレスの松井裕樹投手(30)が、コンディション不良のため出場を辞退した。26日(日本時間27日)、キャンプ地の米アリゾナ州ピオリアで取材に応じ、その胸中を率直に語った。
決断は早かったという。
「葛藤はすごくありました。ただ、この状態を見たら即断、即決でした。次に入る選手のためにも、自分がそのまま合流するよりプラスになるとしか思わなかった」
松井を襲ったのは左内転筋の負傷。違和感を覚えたのはブルペンでの投球中だった。「3人目の打者の時に“あれっ”と思って。つったのか、伸びたのか分からなかった。何球か投げて、これはダメだと」。痛めた翌日には、代表辞退の意向を固めたという。
▪️「最終的に決めたのは自分」
代表を率いる井端弘和監督、そして球団首脳陣とも話し合いを重ねた。だが、最後に判断を下したのは自らだった。
「GM、監督、ピッチングコーチがいる中で話しましたが、最終的には僕が決めました。井端監督からは『しっかり治してシーズンを迎えてほしい』と言っていただきました」
メジャー挑戦1年目のシーズンを前に、無理はできない。松井は昨オフ、楽天からポスティングシステムを利用してパドレス入り。新天地での結果が、今後のキャリアを左右する立場にある。
▪️代役には実力派若手筆頭の金丸夢斗投手
松井投手の辞退に伴い、追加招集されたのは中日ドラゴンズの金丸夢斗投手(23)。松井投手は「連絡先を知っている先輩方には連絡しました。金丸選手にも」と明かし、バトンを託した。
同じパドレスに所属するダルビッシュ有選手にも現状を説明。
「自分の見立てを正直に話しました。WBCだけのためにやってきたわけではないし、シーズンに向かってくれと言われました」と助言を受けたという。
また、代表の主軸である大谷翔平選手らにも連絡を入れた。
戦列を離れる無念はある。それでも「チームの一員だと思っています。大会が始まったら心の底から優勝してほしい気持ちで応援します」と、思いは揺るがない。
▪️問われる“この2年のスペック”
負傷の要因については「トレーニングかエクササイズか、見直しているところ。この2年のスペックでは勝負にならない」と自己分析を口にした。メジャーの舞台で戦うために、さらなる肉体改造が必要だという危機感の表れでもある。
現時点で傾斜(マウンド)に入るめどは立っていない。
「どこまで近づけるかですね」と慎重な姿勢を崩さなかった。
日本代表の連覇への挑戦を、外から見守ることになった松井投手。
だが、その視線の先にあるのは、あくまで長いシーズンとその先の未来だ。
国家代表の誇りと、メジャーリーガーとしての責任。
その狭間で下した「即断、即決」は、30歳左腕の覚悟の表れでもあった。

