広島東洋カープを揺るがせた「ゾンビタバコ」問題 新井貴浩監督が再謝罪、その裏で拡大する薬物の闇

2026.2.26

プロ野球界に・・・重い影が落ちた事案

広島東洋カープは2月25日、指定薬物エトミデートを使用したとして医薬品医療機器法違反で起訴された羽月隆太郎被告(25)との契約解除を発表した。球団は「重大なコンプライアンス違反」と判断。事実上の即時解雇という厳しい措置に踏み切った。

 

これを受け、新井貴浩監督は球団を通じてコメントを発表。

「監督として非常に責任を感じております」と再び頭を下げた。

開幕を目前に控えた時期での不祥事。チームへの影響は計り知れない。

しかし、今回の問題は単なる「選手の不祥事」にとどまらない。


 

▪️「ゾンビタバコ」とは何か

羽月被告が使用したとされるエトミデートは、本来は医療現場で麻酔導入などに使われる成分だ。だが近年、これを混入させた電子タバコ製品が闇市場で出回り、「ゾンビタバコ」と呼ばれている。

吸引後に意識が朦朧とし、身体の自由がきかなくなる様子が“ゾンビのようだ”として名付けられた俗称だ。専門家によれば、急激な血圧低下、呼吸抑制、意識障害などを引き起こす危険性があるという。量や体調によっては命に関わる可能性も否定できない。

SNSを通じて拡散し、若年層を中心に水面下で流通しているとの指摘もある。外見は通常の電子タバコと見分けがつきにくい。つまり「知らずに手を出す」リスクもあるのだ。

 

▪️プロ野球選手という“影響力”

問題の深刻さは、使用者がプロ野球選手であった点にある。

子どもたちの憧れであり、地域の象徴でもある存在。とりわけ広島の街において、カープの選手は単なるアスリート以上の意味を持つ。だからこそ、新井監督は「信頼回復に努める」と強調せざるを得なかった。

監督は1月27日の逮捕直後にも謝罪コメントを出し、キャンプ前の全体ミーティングでは「ユニホームを着ている以上、100%野球に集中するだけ」と選手たちを引き締めたという。それでもなお、契約解除という結論に至った現実は重い。

 

▪️薬物は“遠い世界”ではない

かつて違法薬物は裏社会の話だった。

しかし現在は、SNS、フリマアプリ、匿名配送といったインフラの発達により、境界線は曖昧になっている。パッケージはポップで、名称は軽い。だが中身は命を奪いかねない化学物質だ。

「ゾンビタバコ」という言葉の軽さが、危険性を覆い隠してはいないか。

今回の一件は、一球団の問題ではない。スポーツ界全体、さらには社会全体への警鐘と見るべきだろう。プロ野球界がクリーンであり続けるためには、

厳罰だけでなく、教育や情報共有の強化も不可欠だ。

開幕を前に、広島東洋カープは痛みを伴う決断を下した。