【箱根駅伝】勝利は偶然ではない―青学大、緻密な設計図が生んだ史上初の3連覇 原晋監督の“統率力”が箱根を制圧

2026.1.3

【© 関東学生陸上競技連盟】

第102回東京箱根間往復大学駅伝は、青山学院大の完成度の高さを改めて証明する大会となった。往路首位から復路でも一度も主導権を譲らず、速報値で大会新記録となる10時間37分34秒をマーク。史上初となる「同一校2度目の3連覇」という金字塔を打ち立てた。


 

だが、その勝利は単なる選手個々の能力によるものではない。

今大会の青学大は、序盤の劣勢すら想定内に組み込んだかのような

“設計されたレース”を展開した。

象徴的だったのが往路だ。1区で16位と出遅れながらも、チームは一切動じなかった。5区でタスキを受けた黒田朝日(4年)が、山登りで異次元の走りを披露。

トップと3分24秒差という状況から一気に流れを引き戻し、

優勝争いの構図を根底から塗り替えた。

復路に入ってからの青学大は、まさに“隙のない布陣”だった。6区では1年生の石川浩輝が山下りを担当。57分16秒という1年生歴代最速タイムで、経験不足という不安を完全に払拭した。7区の佐藤愛斗(2年)、8区の塩出翔太(4年)も安定感と爆発力を兼ね備えた走りで流れを固定。塩出は区間新を樹立し、3年連続区間賞という偉業に到達した。

初出場の9区・佐藤有一(4年)、最終10区の折田壮太(2年)も、攻め急ぐことなく“勝ち切る走り”を選択。大舞台で求められる役割を全員が理解し、淡々と遂行した点に、チームとしての成熟度がにじみ出ていた。

この3連覇で、原晋監督は通算9度目の箱根制覇。

日体大の名将・岡野章氏を抜き、単独最多優勝監督となった。

派手な言動が注目されがちだが、その本質は「選手を駒としてではなく、戦略の担い手として育てる力」にある。優勝後、選手たちに9度宙に舞わされた光景は、信頼関係の象徴だった。

掲げてきた「輝け大作戦」はスローガンに終わらず、結果として箱根の歴史を更新した。青学大は今や“強い大学”ではない。

“勝ち方を知っている集団”として、箱根駅伝の基準そのものを引き上げつつある。