【RIZIN】金原正徳選手が残した“最後の夢” 「朝倉海にUFCのベルトを」

2026.1.1

【©️RIZIN FF】

12月31日、さいたまスーパーアリーナ。
『RIZIN 師走の超強者祭り』のリングで、

ひとりの功労者が静かにマイクを握った。
2000年代から日本MMAを支え続けてきた

金原正徳選手(リバーサルジム立川ALPHA)。

この日、現役生活に終止符を打つ男が口にした言葉は、

あまりにも“未来”を見据えたものだった。


 

「朝倉海に、UFCのベルトを巻かせてあげること」

それは自身の栄光ではない。
自分の名前を残すための言葉でもない。
日本MMAの次代を担う後輩へ託した、切実で、そして泣けるほど真っすぐな願いだった。

■ 現役を終えても、リングを降りない男

金原選手は昨年2025年7月、YA-MAN選手との3ラウンドに及ぶ壮絶な激闘の末にTKO負け。その場で引退を表明していた。
この日リングに上がった金原の表情は、敗者のそれではない。

すべてをやり切った者だけが見せる、穏やかな覚悟に満ちていた。

「21歳でデビューして、43歳まで現役で戦うことができました」

ZST、戦極、UFC、そしてRIZIN。
日本MMAがまだ“世界”と呼ばれる前から、金原選手は最前線で

殴られ、倒れ、それでも立ち上がり続けてきた。
その男が最後に語ったのは、自分のキャリアではなく、“次に何を残すか”だった。

 

■ 「UFCのベルトを」その言葉が持つ重み

リング上には、現在UFCに参戦する朝倉海選手、盟友・所英男選手、そして家族の姿があった。花束を受け取りながら、金原はこう続けた。

「競技者としてリングに上がることはないですが、指導者として、このリングに後輩を上げて、ベルトを巻かせたい。朝倉海にUFCのベルトを巻かせてあげたい」

UFC王座がどれほど遠く、険しいものか。
それを誰よりも知っているのが、UFCで勝利を挙げた金原選手自身だ。

だからこそ、この言葉は軽くない。夢物語でも、勢いの発言でもない。

“現実を知る男”が、それでも口にした覚悟の宣言だった。

 

■ 主役から橋渡し役へ

金原正徳選手は、派手なスターではなかった。
だが、時代と時代をつなぎ、日本MMAの土台を作り続けた存在だった。

「所英男を最後まで送りたい宿命もありますし、最後まで格闘技人生を楽しみたい」

その言葉が示すのは、引退=終わりではないという生き方だ。
主役の座を後輩に譲り、自らは“橋”になる。
その先に、日本人初のUFC王者という景色を本気で思い描いている。

 

■ 金原選手が残したものは勝敗以上の“意志”

数々の激闘、名勝負、そして敗北。
金原正徳選手が日本MMAに残した最大の財産は、戦績ではない。

「自分が届かなかった場所へ、後輩を送り出す」

その覚悟と責任を、あのリング上の言葉は雄弁に物語っていた。

朝倉海選手にUFCのベルトを─。
その夢が叶う日、きっとその裏側には、リングを降りた男の静かな情熱がある。