井上尚弥選手、砂漠の王都で歴史へ“年間4度防衛”史上初の金字塔に挑む
【©️Team Inoue】
ボクシング界の潮目が、再び動こうとしている。
世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥選手が、12月27日、サウジアラビア・リヤドで世界戦のゴングを迎える。相手はWBC世界同級2位のアラン・ピカソ。
舞台は急速に“新たな聖地”となりつつあるムハマド・アブド・アリーナだ。
この一戦が持つ意味は、単なる防衛戦にとどまらない。
年間4度の4団体王座防衛に成功すれば、1976年にムハマド・アリが成し遂げて以来、実に49年ぶりの快挙。
4団体統一王者としては史上初という、前人未到の記録がかかる。
25日に行われた公式会見で、井上選手は白いスーツにサングラス姿で登壇。
約200人の観衆を前に右手を掲げ、「ここに集まっている日本人選手は、技術も気持ちも非常に高い。自分を含め、全員で勝って日本に帰りたい」と語り、日本対メキシコの構図となる興行で主将としての覚悟を示した。
一方、初対面となったピカソも強気の姿勢を崩さない。会見前には、壇上に置かれた米老舗専門誌「ザ・リング」認定ベルトを高く掲げ、「4つのベルトは自分の国に持ち帰る。当日は“サムライナイト”ではなく、“アステカナイト”になる」と宣言。
挑戦者らしからぬ自信を漂わせた。
だが、統一王者の返答は明快だった。
「このベルトがメキシコに帰るということは、100%あり得ない」。
会見後のフェースオフでは約40秒間、視線を逸らすことなく
にらみ合い、握手も交わさずにそれぞれ会場を後にした。
静かな緊張感が、決戦の近さを物語る。
この日、井上選手にとって追い風となるニュースも届いた。
ザ・リング誌が選ぶパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングで
3位から2位へ浮上。「この試合は今後のキャリアを加速させる一戦。
内容次第でPFP1位に返り咲く」。視線の先には、さらなる高みがある。
唯一の4団体統一王者として、すでに数々の壁を打ち破ってきた井上尚弥選手。
ピカソ戦は、その歩みの“通過点”なのか、それとも新たな伝説の序章となるのか。



