【ウインターカップ2025女子初日】“完成度の差”が一目瞭然─八雲学園が英明を粉砕、初戦で示した優勝候補の輪郭
【©️SoftBankウインターカップ2025】
高校バスケットボールの最高峰「SoftBank ウインターカップ2025」は12月23日、東京体育館で幕を開けた。
大会初日の女子1回戦で注目を集めたのが、開催地・東京代表の八雲学園と四国代表・英明の一戦だ。
結果は94-58。
スコア以上に印象的だったのは、両チームの完成度の差が、
序盤から最後まで埋まる気配すらなかったという事実である。
■ “助っ人頼み”では終わらない八雲学園の設計図
八雲学園の強さは、単なるサイズや個の力ではない。
確かに、留学生センターのテウ・アダマ(9番/186cm)は
43得点18リバウンドと異次元のスタッツを叩き出し、
インサイドを完全に支配した。
しかし、この日の八雲を“全国仕様”たらしめていたのは、
5番・川名漣を起点としたオフェンスの整理能力にあった。
右サイドを基点にしたドライブ、ミドル、キックアウト。
英明がダブルチームを敷けば、川名は迷いなく“正解”を選び続ける。
27得点11リバウンド4アシスト5スティール──数字が示す通り、
彼女は「点を取るエース」である以前に、「試合を壊さない司令塔」だった。
■ 第1Qでほぼ決着──明確すぎたゲームプランの差
試合は第1クォーターから様相が定まった。
英明はオールコートプレスと外角シュートで流れを掴みにかかるが、八雲は慌てない。
テウのリバウンド→即展開、川名の判断、ウイング陣の走力。
“速いが雑にならない”トランジションが、英明の守備を根こそぎ崩していく。
22-12。
10分間で示されたのは、勢いではなく「準備の差」だった。
第3クォーター、点差は決定的なものとなる。
6番・田中椎紗の安定したミドル、11番・吉村彩里の視野の広さ、
そして再びテウのインサイド支配。
英明も13番・宮本望愛の3ポイントなどで応戦するが、
リバウンドと走力の差は最後まで埋まらなかった。
81-42。
この時点で、勝敗だけでなく「大会をどこまで勝ち進めるか」
という視点に話題は移っていた。
■ 課題も見えた─それでも“台風の目”である理由
最終Qは主力を下げ、控え中心の布陣。
10番・川奈美羽の初出場、13番・遠藤綾乃の即得点、
8番ンジャイ・マム・ジャーラの大会初ゴールと、ベンチは活気に満ちていた。
一方で、テウに代わるインサイド要員の不在、
そして4番・松崎菜緒が右肩を痛め後半を欠場した点は、今後への不安材料でもある。
ただし、それを差し引いても──
初戦でこれほどの完成度と爆発力を同時に示したチームは多くない。
94-58という数字以上に、八雲学園がこの初戦で示したのは、
「自分たちはこの舞台で戦う準備ができている」という明確なメッセージだ。
次戦は24日、県立石川(沖縄)を下した県立富岡東(徳島)と対戦。
このまま勢いを加速させるのか、それとも課題を突かれるのか。



