「退職代行モームリ」運営会社に家宅捜索 警視庁が弁護士法違反の疑いで調査

2025.10.22

警視庁は22日、退職代行サービス「退職代行モームリ」を運営する企業に対し、

弁護士法違反(いわゆる非弁行為)の疑いで家宅捜索を実施した。

捜索は同社の提携弁護士事務所にも及んでおり、

今後、関連資料の解析を進めるとみられる。

 

同社は、依頼者に代わって勤務先へ退職の意思を伝えるサービスを展開しており、運営会社側が報酬を得る目的で法律事務を弁護士にあっせんした可能性があるとされている。

警視庁は現時点で、容疑の有無について慎重に調べを進めている。

 

■「非弁行為」とは

弁護士法72条では、弁護士でない者が報酬を得る目的で法的な交渉を代理したり、他者にあっせんしたりすることを禁じている。
こうした行為は「非弁(ひべん)行為」と呼ばれ、法的トラブルを避けるため厳格に規制されている。

 

■弁護士会の見解と注意喚起

退職代行サービスの普及を受け、東京弁護士会は昨年11月、「退職代行サービスと弁護士法違反」と題する注意喚起文を公表。
未払い残業代やパワハラの慰謝料、退職金など、金銭請求をめぐる交渉を代行業者が行うと、非弁行為に該当するおそれがあると指摘している。

 

■背景と専門家の見方

日本弁護士連合会では、非弁行為などの防止を目的に「業際・非弁・非弁提携問題等対策本部」を設置している。
副本部長の向原栄大朗弁護士は、「法律事務は人の権利義務に深く関わる行為であり、専門知識がないまま介入すると依頼者が不利益を被る危険がある」と話す。

また、弁護士と業者の間で対価を伴う紹介が行われた場合、依頼者の利益が損なわれるおそれがあるとして、「法と証拠に基づく独立した判断をゆがめかねない」とも指摘している。

警視庁は今後、押収資料などをもとに事実関係を慎重に確認し、違法性の有無を判断するとみられる。