東大が世界26位!? 世界大学ランキングに見る構造変化 東アジアの台頭と日本の「静かな後退」

2025.10.9

英教育専門機関「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」が

9日に発表した最新の世界大学ランキングで、

東京大学が前年の28位から26位に上昇した。

表面的には順位を上げた形だが、世界の潮流を見ると

日本の大学の“相対的地位”は確実に変化している。

THEによると、今年はアジアから過去最多となる929校がランク入り。

特に中国、韓国、香港勢の躍進が際立った。

THEはこれを「東アジアの急速な進展」と表現している。

 

▪️英米の牙城に亀裂、アジア勢が存在感

ランキングの首位は10年連続で英オックスフォード大学。

2位は米マサチューセッツ工科大学(MIT)が維持し、上位10校はいずれも英米勢が独占した。

しかし、その安定の裏側で米国勢の勢いは鈍化。

トップ500に入った米大学は過去最少の102校に減少した。
一方で、中国の清華大学が3年連続で12位、北京大学が13位に入るなど、アジアの研究拠点が着実に台頭。

韓国はトップ100に4校、香港はトップ200に6校を送り込んでおり、

研究資金と国際連携の拡充が成果として表れ始めている。

 

▪️日本勢115校ランク入りも…「量」より「質」の壁

 日本からは115校がランク入りし、東アジア最多を維持した。

東京大学(26位)に続き、京都大学は55位から61位に後退。

東北大学(103位)や大阪大学(151位)は安定的に上位を保ったが、順位上昇を果たした大学は限られた。
順天堂大学が600位以内に浮上したのは明るい材料だが、THEは「日本の大学は研究の質に関する指標で改善を見せている一方、世界的な存在感はやや低下している」と分析している。

 

▪️“世界標準”との距離をどう詰めるか

世界の大学評価においては、研究論文の被引用数、

国際共同研究の比率、教育環境の充実度などが重視される。

各国政府が研究資金と留学生受け入れに積極投資する中、

日本は依然として「国内完結型」の枠組みを抜けきれていない。
東京大学の順位上昇も、東アジア全体の成長スピードと比較すれば微調整の域を出ない。

ランキング上昇に一喜一憂するより、

研究環境の国際化、人材流動性、英語論文発信力の底上げといった

根本的課題が問われている。