女子テニスの大坂なおみ選手、進化したプレースタイルで決勝進出 4年半ぶりツアー優勝へ王手
▪️ナショナルバンク・オープン準決勝でタウソンを撃破、新スタイルに手応え
女子テニスのナショナルバンク・オープン準決勝が6日、カナダ・モントリオールで行われ、元世界1位で現在ランキング49位の大坂なおみが、世界19位のクララ・タウソン(デンマーク)を6-2、7-6のストレートで下し、2021年全豪オープン以来およそ4年半ぶりとなるツアー優勝に王手をかけた。
同大会での決勝進出は、1月のASBクラシック以来7か月ぶり。4大大会およびWTA1000の主要大会では、2022年4月のマイアミ・オープン以来となる約3年4か月ぶりのファイナル進出となった。
タウソンとは、今年のASBクラシック決勝で対戦経験があるが、その際は大坂が腹筋を痛め途中棄権を余儀なくされた。リベンジを果たした形となった今回の勝利は、大坂にとって競技復帰後の確かな前進を示すものとなった。
決勝では、地元カナダの新星ビクトリア・エムボコ(世界85位)と初対戦する。エムボコは今大会、2位のコリ・ガウフ(米国)やウィンブルドン覇者のエレーナ・ルバキナ(カザフスタン)を破る快進撃を見せており、勢いのある19歳との対決は注目を集める。
試合後、大坂は「決勝に進めるとは正直思っていなかった。とてもエキサイティングな気持ち。少し緊張するかもしれないけれど、1人でも2人でも、私を応援してくれる人がいたらうれしい」と、素直な思いを語った。
▪️プレースタイルの変化と成熟したメンタル
今大会の大坂の戦いぶりで目を引くのは、これまでの“豪打”一辺倒とは異なる、緩急を織り交ぜた戦略的なテニスだ。
かつては、直線的で強烈な第1サーブとフラットなフォアハンドを武器に、パワーとスピードで押し切るスタイルだった。しかし今回は、スライス回転を加えた第1サーブや、順回転を多くかけたトップスピンのフォアでミスを抑えつつ、ラリーを優位に進める場面が目立った。打球の弾道はやや山なりとなり、ネットの上を安定して越える構成で、かつボールの跳ねも高く、相手にとっては対応が難しい。
第1セットの第5ゲーム以降は5連続ゲームを奪い、完全に流れを掌握。メンタル面でも焦ることなく、要所を締める冷静なプレーで、課題とされていた精神面の安定も感じさせた。
▪️若手の勢いにどう立ち向かうか
決勝で対戦するエムボコは、大坂がかつて見せていたような勢いと爆発力を持つ存在だ。だが、大坂はすでに“勢いだけの選手”ではない。多様な球種に落ち着いて対応し、ペースを乱されることも少なくなってきている。テクニカルな駆け引きにも冷静さを保ち、自らのリズムを崩さない強さが、今大会を通じて浮き彫りとなっている。