女子ボクシング元4階級制覇王者アレハンドラ・オリベラスさん急逝 “ステロイド使用疑惑”が浮き彫りにする代償

2025.8.6

【© Orato World Media】

2025年7月28日、元女子ボクシング世界4階級制覇王者であり、アルゼンチン国内では英雄的存在だったアレハンドラ・オリベラス氏が、脳卒中および肺塞栓症の合併症により急逝した。享年47。彼女の死を巡り、筋肉増強剤、特にアナボリックステロイドの使用疑惑が浮上しており、その潜在的な健康リスクに注目が集まっている。

 

▪️現役を退いた後も、現役時以上の筋肉美

オリベラス氏は2006年にWBC女子世界スーパーバンタム級王者となって以降、スーパーライト級まで制覇し、女子ボクシング界で初の4階級制覇を達成。33勝(16KO)3敗2分という輝かしい戦績を残し、2017年に現役を引退した。

引退後も筋力トレーニングを続け、SNSには逞しい胸筋や上腕を誇示する画像をたびたび投稿。その肉体は現役時代を超えるとも言われ、一部ではその筋肉の急激な増強に対し懸念の声も上がっていた。

 

▪️死因は「脳卒中と肺塞栓症」司法解剖を求める動きも

オリベラス氏は7月14日、虚血性脳卒中および右頸動脈血栓症を発症し入院。その後、重度の肺塞栓症によって心肺機能が停止、意識が戻ることなく28日に死去した。

当初は7月30日に火葬が予定されていたが、同国の著名なボディビル関係者が**「アナボリックステロイド使用の疑いがある」として、司法解剖による調査を要求**。これにより火葬は延期された。

アルゼンチンでは医師の処方なしにアナボリックステロイドを所持・使用することは違法とされており、仮に事実であれば法的・倫理的な問題も孕む。

 

▪️ステロイドと健康被害─知られざるリスク

アナボリックステロイドは筋肉増強を目的に使用される合成ホルモンだが、長期的な使用は深刻な副作用をもたらすことで知られている。たとえば、米国心臓協会(AHA)や医学誌『The Lancet』によると、

・高血圧や動脈硬化の進行

・血栓形成による脳卒中・心筋梗塞リスクの増大

・肝臓障害、腎機能低下

・精神疾患(攻撃性、幻覚、うつ症状など)

といった症状が報告されており、特に高血圧や血栓のリスクは命に関わる重大な副作用だ。

一部報道では、オリベラス氏が高血圧を抱えたままステロイドを使用していた可能性があると指摘されているが、事実関係は確認されていない。

 

▪️「死因の特定は困難」も・・・警鐘は鳴らされるべき

スポーツ医によると、ステロイドの多くは摂取から24~72時間以内に体内から排出されるため、死後の薬物検出は困難。今回も明確な物証が残っていなかったことから、葬儀は最終的に翌日に執り行われた。

一方で、ネット上では「彼女を侮辱するな」という声と、「死因の解明は社会的責任だ」という意見が激しく対立。YouTubeなどでは彼女の死とステロイドとの関連を推測する動画も多数拡散されている。

 

▪️偉大な功績の陰にある代償

「機関車」の異名で親しまれたオリベラス氏は、多くの女性アスリートに希望を与える存在だった。追悼メッセージには、「彼女が頑張る姿を見て、私も人生を変えるきっかけを得た」といった声が並ぶ。

だが同時に、筋肉美の裏にあるリスクと闇が、今回の悲劇によって照らし出されたのも事実だ。