井上尚弥選手が異例の13年ぶり“出稽古”に踏み切る 迎えるはキャリア最大の難敵アフマダ愛作リエフ選手への対策
【大橋会長Instagramより画像】
ボクシング世界4団体統一スーパーバンタム級王者・井上尚弥(32=大橋)が、これまでのルーティンを大きく覆す一手に出た。9月14日に控えるWBAスーパーバンタム級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との防衛戦に向けて、東京都新宿区の帝拳ジムに足を運び、異例の「出稽古スパーリング」を敢行したのだ。これは実に13年ぶりの出来事である。
4日の夜に行われたスパーリングは計8ラウンド。
日本バンタム級王者でWBA世界ランキング4位の増田陸選手(27)、アマチュア10冠の実績を持つWBOアジアパシフィック・フェザー級王者の藤田健児選手(31)という強豪2人が相手を務めた。
大橋ジムの大橋秀行会長は5日、「新鮮な気持ちで練習ができました。最高のスパーリングでした」と語ったが、これが単なる“気分転換”ではないことは明らかだ。井上自身がこの出稽古を「いつもと違う環境で緊張感を持ってやるため」と語るように、今回の防衛戦がこれまでとは一線を画す“試練”であることを、本人が誰よりも強く感じ取っている証左でもある。
アフマダリエフは元世界二団体王者であり、現在も圧倒的な身体能力と鋭いカウンターを武器に世界トップの座に君臨する実力者。
加えてサウスポーという点も、井上にとっては攻略に時間を要するスタイルだ。
井上は「キャリア最大の難敵」と表現しており、その言葉の重みが今回の出稽古という行動に結びついている。
これまでプロ入り以来、大橋ジムで一貫して練習を積んできた井上選手が、あえて“アウェー”の空気を求めて動いたことは、タイトル保持者である側の覚悟を物語っている。今後も、サウスポーの強豪日本人選手が揃う帝拳ジムでの実戦練習を重ね、アフマダリエフ対策を徹底していくという。