プロボクサー2選手が同日に緊急開頭手術 後楽園ホール興行で「急性硬膜下血腫」発症 JBC発表
日本ボクシングコミッション(JBC)は8月4日、2日に東京・後楽園ホールで行われたプロボクシング興行に出場した神足茂利(28=M・T)と浦川大将(28=帝拳)の2選手が、
試合後に「急性硬膜下血腫」と診断され、都内の病院で緊急開頭手術を受けたと発表。
両選手は現在、集中治療室などで経過観察中だという。
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▪️急性硬膜下血腫と緊急開頭手術
急性硬膜下血腫は、頭部への強い衝撃により脳を覆う硬膜と脳の間に血液が急速にたまる重篤な外傷性疾患で、脳の圧迫を防ぐためには早急な外科的処置が必要となる。開頭手術では頭蓋骨の一部を外し、血腫を除去して脳の圧力を下げる。処置が遅れると命に関わる可能性が高く、試合直後の症状変化に迅速に対応した救急搬送が功を奏した形だ。
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▪️神足茂利選手のケース
神足選手は同日のメインイベント、東洋太平洋スーパーフェザー級タイトルマッチで、王者・波田大和(28=帝拳)に挑戦。偶発的なバッティングで両者が眉間を切るなど、激しい流血戦となった。試合は三者三様のドロー判定(115―113、113―115、114―114)で王座獲得はならなかった。
判定発表後、神足は後頭部を押さえる様子を見せたものの、自力でリングを降り、相手陣営にもあいさつしていた。しかし控室に戻った後に意識がもうろうとし、救急搬送。
診断の結果、急性硬膜下血腫が確認され、直ちに開頭手術が行われた。
▪️浦川大将選手のケース
浦川は日本ライト級挑戦者決定戦で、同級5位・斎藤陽二(29=角海老宝石)と対戦。
7回終了時点で3人のジャッジがいずれも1~3ポイント差で浦川を支持していたが、最終8回に連打を受けダウン。8回TKO負けとなった。
試合後は自力歩行できず、担架で搬送され病院へ。
診断で急性硬膜下血腫と判明し、即日開頭手術が行われた。
▪️過去の対戦とライセンス規定
神足と浦川は昨年4月30日、同じ後楽園ホールでライト級8回戦を戦い、
浦川が6回TKOで勝利している。
JBCの規定では、開頭手術を受けた選手はプロライセンスが自動的に失効するため、
両者ともに、この日をもってボクサーとして現役引退が決定的となった。