UFCピットブル選手、逆境からの“復活劇”─イゲ選手を下し、遂に掴んだオクタゴン初勝利!

2025.7.20

【©️UFC】

7月19日(現地時間)、ルイジアナ州ニューオーリンズのスムージー・キング・センターで開催された『UFC 318: Holloway vs. Poirier 3』にて、元Bellator2階級制覇王者パトリシオ・“ピットブル”・フレイレ(ブラジル)がUFC2戦目に挑み、フェザー級11位の実力者ダン・イゲ(米国)を判定3-0で下す快挙を成し遂げた。

 

UFCデビュー戦では世界ランク5位のヤイール・ロドリゲス相手に苦杯を喫したピットブル。MMAキャリアの最盛期をBellatorで築いた彼にとって、オクタゴンの舞台は未踏の挑戦だった。年齢33歳。もう”挑戦者”と呼ばれる歳ではない。それでも彼は諦めなかった。

▪️破壊と再生─Bellatorの栄光からUFCの試練へ

ピットブルのここ数年は波乱に満ちていた。2022年末にはクレベル・コイケに勝利し、その名を再び知らしめたが、その後はセルジオ・ペティスに完敗、RIZINでは鈴木千裕に衝撃の1R KO負け。そして2024年3月、Bellatorでのジェレミー・ケネディ戦ではようやく勝利を収めたものの、年末の日本大会出場も叶わず、PFLとの交渉も宙に浮いたまま。

行き場を失ったピットブルは、自らUFCとの契約を望み、格闘技人生の“再起動”を決意。だが、いきなりのUFC5位戦士・ロドリゲス戦での完封負けという試練が待っていた。

「もう終わった」と言われても仕方のない立場。しかし、ピットブルはここで引き下がらなかった。

▪️技術と経験が光った3R

イゲ戦では、これまで積み上げてきたキャリアが光った。試合は序盤から緻密なローキックとテイクダウンのコンビネーションでリズムを掴む。特に1R・2Rでは、シングルレッグからのコントロール、そして距離を詰めてのパウンドと、ケージレスリングの巧さが際立った。

一方のイゲも、鋭い前蹴りやハイキック、ボディストレートで応戦。3Rでは右ヒザを合わせて反撃の狼煙を上げたが、ピットブルは冷静に対応。終盤には再びテイクダウンからポジションを奪い返し、勝利を手繰り寄せた。

ジャッジ3者ともに29-28の判定でピットブルの勝利。テイクダウン数、コントロールタイム、有効打数──すべてでイゲを上回る、説得力ある内容だった。

▪️UFCの舞台で、新たな“猛犬伝説”が始まる

かつてBellatorの王座を2階級で制し、“最強兄弟”の異名を取ったピットブルが、ようやくUFCの地で存在を証明した。キャリア通算45戦目にして、掴んだ初のオクタゴン白星。

この勝利が単なる1勝で終わるのか、それともピットブル第2章の始まりとなるのか。本人の口からはまだ次戦に関する言及はない。

しかし、ベテランの執念と技術が詰まったこの勝利が、

UFCのフェザー級戦線に一石を投じたことは間違いない。