HYBE創業者バン・シヒョク氏、韓国証券当局が資本市場法違反容疑で刑事告発

2025.7.18

韓国の大手芸能事務所HYBE(旧Big Hit Entertainment)の創業者で音楽プロデューサーとしても知られるバン・シヒョク(房時赫)氏が、不正な株式取引の疑いで韓国金融当局から刑事告発された。韓国金融委員会傘下の証券先物委員会(SFC)は、2024年7月16日付で、同氏が「資本市場および金融投資業に関する法律(以下、資本市場法)」に違反したとして、ソウル中央地検に告発を行ったと公式に発表した。

 

韓国証券先物委員会によると、バン氏はHYBEが2020年に韓国取引所に上場する直前の株式売買において、内部情報を基に株式を売却し、不当な利益を得た可能性があるという。これは韓国資本市場法第174条「内部者取引の禁止」に抵触するおそれがあり、刑事罰の対象となり得る重大な違反とされている。

HYBEは、BTS(防弾少年団)の世界的成功を契機に急成長し、2020年の上場時には時価総額が約11兆ウォン(当時約1兆円)に達した。バン氏は創業者として莫大な株式を保有し、一代で「K-POPビジネスの象徴」となった人物だが、今回の疑惑はその経済的地位に重大な影響を与える可能性がある。

 

なお、HYBEにはBTSをはじめ、SEVENTEEN、ENHYPEN、LE SSERAFIMなどの人気アーティストが所属しており、傘下レーベルADORが擁するNewJeansとの間では、専属契約を巡る訴訟や経営権争いも発生している。

HYBEのガバナンス体制や経営の透明性が、改めて問われる局面を迎えている。

韓国のエンターテインメント業界では近年、資本取引に絡む法令違反が相次いでいる。

2023年には、カカオの創業者キム・ボムス(金範洙)氏も、HYBEとSMエンタテインメントの買収合戦に絡む株価操作の疑いで逮捕された経緯があり、同業界におけるインサイダー取引や株価操作などの違法行為に対する当局の監視が強化されている。

今後、検察による捜査の進展によっては、HYBE経営陣全体への責任追及や、エンタメ産業全体に波及する規制強化の議論が避けられない見通しである。