米国USスマッシュにて張本智和選手が世界王者の林詩棟を撃破!―死闘7ゲーム、咆哮のラストポイントで決勝進出

2025.7.13

【©️World Table Tennis】

男子卓球界における「世代交代」の狼煙を、張本智和(トヨタ自動車)が再び高らかに上げた。

現地12日に行われた「USスマッシュ」男子シングルス準決勝で、世界ランキング4位の張本は、同1位・林詩棟(中国)との激闘をフルゲームの末に制し、4-3で決勝進出を果たした。世界の頂点に君臨する林を打ち破るという快挙に、会場のラスベガス・コンベンションセンターは熱狂に包まれた。

 

■ 盤石の立ち上がり、しかし“王者の反撃”が牙を剥く

序盤、張本は鋭い台上処理と速攻を軸にテンポを握る。第1ゲームは11-7、第2ゲームも11-9と連取。特に第2ゲームでは林の強打に対して一歩も引かず、両ハンドのラリー戦を制してみせた。

しかし、王者・林詩棟も黙ってはいなかった。第3ゲームをデュースの末に12-10で奪うと、続く第4ゲームでは張本のサーブに的確な対応を見せ、9-11で追いつく。第5ゲームでは完全に林のペース。変化のあるループドライブと緩急を織り交ぜた配球で張本を崩し、7-11と突き放した。

 

■ 窮地からの覚醒―「張本劇場」が始まった第6ゲーム

後がない第6ゲーム、張本は戦術を再構築。積極的なレシーブから先手を奪い、持ち味のフォアドライブが炸裂。ラリーでも丁寧に回転量をコントロールし、11-5と圧倒した。

勝負の第7ゲーム、中盤まで緊迫した展開が続いたが、6-6から一気に加速。林のバックハンドを突く深いコース取りと、要所でのチキータ(台上バックドライブ)が冴えわたり、5連続得点で一気に勝負を決めた。最後は、林のバックハンドがネットにかかり、11-6――張本が両拳を高く突き上げた瞬間だった。

 

■ 「世界一撃破」にこめた自信と進化

林詩棟との過去対戦は張本の4勝1敗。直近では2024年のWTTファイナルズ福岡でもフルゲームの末に勝利していたが、今回の内容はそれを凌駕するものだった。技術的な成熟に加え、相手の反撃にも冷静に対応する戦術眼、そして何より崩れないメンタルが、勝利のカギとなった。

「絶対に自分の卓球を信じて、最後まで攻め切ることだけを考えた。林選手は本当に強かったが、今日はそれを上回る覚悟があった」と、試合後の張本は語った。

 

■ 決勝の相手は再び“難敵”王楚欽

決勝では、準決勝でフランスのルブランを同じく4-3で下した王楚欽(中国)と対戦する。中国の“ダブルエース”を連破すれば、その意義は極めて大きい。

まだ20代前半にして、日本男子卓球界を牽引する張本智和。世界1位を打ち破った今、その背中には「世界王者」という肩書が見え始めている。