出場ゼロに秘められた事情とは!? 富永啓生選手、サマーリーグ初戦“静かなスタート”の背景を読み解く

2025.7.11

【©️Indiana Pacers 】

NBAを目指す富永啓生(インディアナ・ペイサーズ)が、サマーリーグ初戦となったキャバリアーズ戦で出場機会を得られなかった。

現地7月10日にラスベガスで開催された『NBA 2K26 SUMMER LEAGUE 2025』で、ペイサーズは116-115の劇的な逆転勝利を収めたものの、富永はベンチから試合を見守る形となった。

 今回の試合で、ペイサーズはベンチ登録15人中4人を起用せず。

富永の他にも複数の選手がコートに立たなかった。

だが、その「起用見送り」にはチームの戦術的な方針と、ガード・ポジションの熾烈な競争という現実が影を落としている。

 まず注目すべきは、同ポジションの選手たちのパフォーマンスだ。

試合ではレイジェイ・デニスとクエントン・ジャクソンの2人が20得点超の活躍を見せ、いずれも積極的なドライブとプレーメイクでチームを牽引。

得点面でも守備面でも存在感を発揮しており、ヘッドコーチとしては試合の流れを見ながら、開幕初戦ということもあり、ローテーションの縮小を選択した可能性が高い。

 また、富永の起用に関しては「スコアリングに特化したシューター」という評価が根強い一方で、NBAレベルのディフェンスやフィジカル面の課題が取り沙汰されている。

キャバリアーズとの試合では序盤から、どのポジションでもフィジカルな展開となり、サイズとスピードに優れたガード陣とのマッチアップを想定すると、富永を起用するタイミングがあったとしても、プレイタイムは限られたのは事実だろう。

 さらに、サマーリーグはあくまで「見極めの場」であるという観点も重要だ。

チームとしても選手全員を同じ試合で均等に起用するとは限らず、富永には次戦以降にチャンスを与える構想がある可能性は十分にある。

特に13日に予定されているオクラホマシティ・サンダー戦では、前回の出番なしを踏まえて起用される蓋然性は高まっている。

 昨季、Gリーグのマッドアンツで実戦経験を積みながらも、NBAのロスター入りには届かなかった富永にとって、このサマーリーグはまさに「ラストチャンス」と言える重要な舞台。

静かな船出となったが、限られた機会の中で結果を残し、NBAの舞台への扉をこじ開けられるかがポイントだ。

【文:高須基一朗】