北川景子さん、朝ドラで“滅びゆく誇り”を演じる挑戦 文明開化に揺れた女性の内面に迫る

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【©️NHK】
2025年度後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』に、北川景子が出演することが発表された。北川にとって、意外にも今回が朝ドラ初出演。彼女が演じるのは、明治という激動の時代に「誇り」と「生き方」の狭間で揺れる女性・雨清水タエである。
ヒロイン・松野トキ(高石あかり)の親戚であり、武家の娘としての礼儀や教養を厳しく教え込む人物――それがタエだ。だが、この役柄は単なる“厳しい親戚”ではない。タエは、華族制度の消滅によって存在意義を喪失していく「旧世界の象徴」であり、同時に、時代に抗いながらも変化を迫られる「矛盾と葛藤の体現者」でもある。
北川は、そんなタエを「文明開化の真っただ中で、誇りを失うか、死んだつもりで生き直すか、選択を迫られた女性」と捉えている。かつては30人もの奉公人に仕えられていた“姫”が、ある日突然「働け」と言われる。彼女はその理不尽さに戸惑いながらも、自らの生き方を模索していく。
「タエの身に起きることは決してフィクションではなく、その時代の多くの人々が経験した現実です」と語る北川。その演技に込められるのは、ひとつの時代に飲み込まれていく女性たちへの静かな鎮魂であり、過去と向き合う誠実なまなざしだ。
制作統括の橋爪國臣氏は「この役を誰が演じるべきかを考えた時、最初に頭に浮かんだのが北川景子さんでした」と語る。「タエは時代に抗う存在でありながら、揺れる心を持つ。その二面性を、北川さんの繊細な演技が見事に表現してくれています」と賛辞を惜しまない。
一方、ヒロイン役の高石あかりも「タエの強さは、トキにとって指針そのものです。厳しい中にある深い愛情を感じます」と語るなど、現場では北川の存在感が静かに波紋を広げている様子だ。
本作は、明治の文豪・小泉八雲を支えた妻・小泉セツをモデルとする物語である。