フジHDが買収防衛策を導入 旧村上ファンド系の大量保有に警戒感

2025.7.10

フジテレビの親会社である**フジ・メディア・ホールディングス(フジHD)**は10日、特定の投資家による大量の株式取得に対応するため、買収防衛策となる新たな仕組みを導入すると発表した。

 

対象となるのは、かつて物言う株主として注目を集めた「村上ファンド」出身者らによる投資グループで、同社は「他の株主の利益ではなく、自身の利益最大化を目的とした動きに出るおそれがある」として、慎重な対応が必要と判断したと説明している。

 

▪️「最大33%まで買い増し」意向を示唆

フジHDによれば、旧村上ファンド系の投資家らとは、今年2月から7月にかけて複数回にわたり面談を重ねており、その中で「株式の33.3%を取得する可能性がある」との意向が伝えられたという。

この割合は、会社の重要事項に対して特別決議を拒否できる水準にあたり、経営に大きな影響を及ぼす可能性がある。

7月1日時点で、旧村上系の保有比率は15.06%に達していることも明らかにされた。

フジHDは、旧村上系の投資家らが将来的に同社の子会社を分離・支配下に置こうとしている可能性があるとの見方を示した。具体的な子会社名については明らかにしていない。

 

▪️株式の希薄化で対抗へ 株主総会での承認条件に

買収防衛策としては、新株予約権の無償割り当てが挙げられている。これは、新たに発行される株式の権利を、既存株主に対して無償で配布することで、特定の株主の保有比率を相対的に引き下げる効果がある。

ただし、この対抗策の発動には、今後開催される株主総会における承認が必要になるとしている。

 

▪️経営の独立性を維持できるかが焦点に

旧村上ファンド系の投資家は、企業価値の向上を掲げて株式を取得し、経営改革や構造見直しを求めるスタイルで知られている。一方で、短期的な利益追求に偏るリスクも指摘されてきた。

フジHDとしては、経営の安定と独立性を守る観点から一定の歯止めをかける措置が必要と判断した形となる。

今後は、株主との対話やガバナンス体制のあり方をどう調整していくかが課題となりそうだ。