ボクシング世界戦で佐々木尽が試合後に記憶喪失 壮絶KO負けで後頭部を強打
KO負けで1か月半分の記憶消失、再検査へ
©️Brian Norman Jr
ボクシングのWBO世界ウェルター級タイトルマッチが19日、東京・大田区総合体育館で行われ、同級2位の佐々木尽(八王子中屋)は、王者ブライアン・ノーマン(米国)に5回TKOで敗れた。試合後、所属ジムは佐々木が記憶を失っていることを発表。ここ1か月半の出来事を覚えておらず、再検査を受ける予定だという。
佐々木は初回から果敢に攻めたが、開始わずか40秒でノーマンの左フックを被弾し、ダウンを喫する。その後も劣勢の中で立ち向かったものの、5回に再び強打を受け、後方に倒れて立ち上がることができず。試合はここでストップされ、担架でリングを後にした。
試合後、所属の八王子中屋ボクシングジムは中屋一生会長の署名入りで佐々木の容体を発表。
病院でCT検査などを受けた結果、出血などの異常は見られなかったが、
後頭部を強く打った影響で現在記憶を失っていると報告した。
身体的な外傷はないものの、20日に再度、病院で検査を受けるという。
中屋会長は「今回の世界挑戦に多くの応援とご支援をいただき、心より感謝申し上げます」と関係者や報道陣に謝意を述べたうえで、佐々木が「ここ1か月半の記憶を喪失しており、試合が決まっていたことすら覚えていない状況にある」と明かした。
23歳の佐々木は、2023年1月にWBOアジアパシフィック同級王座を獲得し、今年5月には東洋太平洋王座も手中に。前戦では坂井祥紀に判定勝利を収め、いずれのタイトルも複数回防衛していた。満を持して迎えた初の世界挑戦だったが、王座獲得には届かなかった。
ウェルター級は日本人世界王者の歴史がない階級。これまで辻本章次、龍反町、尾崎富士雄、佐々木基樹が挑戦し、いずれも敗戦。佐々木は5人目の挑戦者であり、日本開催の同級世界戦は1989年12月の尾崎戦以来、実に36年ぶりだった。