BTSのRM・JIMIN・V・JUNG KOOKが兵役満了へ─制度の変化と“Kカルチャー”の国家的使命
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2025年6月7日、韓国を代表するグローバルアーティスト・BTSのメンバーであるRM、JIMIN、V、JUNG KOOKの4人が、兵役を満了し除隊することが所属事務所BIGHIT MUSICより発表された。K-POPの象徴的存在である彼らの除隊は、単なるグループ活動再開の兆しにとどまらず、韓国における兵役制度と文化政策の転換点を象徴する出来事でもある。
▪️除隊発表とファンへの呼びかけ
発表によれば、4人は陸軍に現役入隊し、兵役義務を全うしたうえで「満期転役」を迎える。BIGHIT側はファンに向け、「転役日は他の将兵と共に行われるため、別途イベントは行われない」とし、現地への訪問自粛と安全確保への協力を呼びかけた。続けて「これまでの応援と変わらぬ愛に、心より感謝申し上げます」とファンへの感謝を伝えている。
▪️文化功労と法制度のはざまで──兵役法改正の背景
韓国の現行兵役法において、全ての18歳以上の男子には原則として現役兵または代替服務による兵役義務が課される。しかし、世界的アーティストとなったBTSの存在は、芸能人への一律適用の是非を問い直す社会的議論を引き起こしてきた。
この流れを受け、韓国国会は2020年に兵役法第60条を改正。一定の国家的功績が認められた大衆文化芸術人に対し、満30歳までの入隊延期を認める特例措置を導入した。これは事実上、BTSを念頭に置いた法改正であり、彼らはこの制度により活動継続の猶予を得た。
しかし、入隊自体の免除(いわゆる「特例免除」)は行われず、最終的には全員が現役兵として入隊を選択。この姿勢は、文化的地位にあぐらをかかず、国家義務を誠実に果たすという社会的模範ともなった。
▪️今後の活動と「兵役後」のK-POPの行方
BTSはメンバー7人中6人がすでに兵役を終了、残るJINもまもなく除隊を控えている。グループの完全体復帰が現実味を帯びる中、兵役後の再始動に国内外のファンから大きな期待が寄せられている。
一方で、韓国では今後も文化産業と徴兵制度のバランスが問われる場面が増えると予想される。アーティストが国家のイメージや外交において果たす役割が拡大する中で、「文化功労」と「国防義務」という二律背反にどう折り合いをつけるかは、立法・行政双方の課題となっている。