「蹴りの職人」与座優貴選手 ONEデビュー戦で圧巻の完封勝利――

2025.5.24

最強ロシア人を封じた冷徹なる9分間の支配

【©️ONE Championship,】

 

日本が誇る“蹴りの精密機械”が、ついにアジア最高峰の舞台でその真価を証明した。

元K-1 WORLD GPライト級王者・与座優貴(team VASILEUS)が、ONE Championshipのリングに初登場。相手は6戦無敗・破壊力抜群のロシア人ストライカー、エルブルース・オスマノフ。迎えた「ONE Friday Fights 109」でのデビュー戦、与座は3ラウンドを通じて徹底的に主導権を握り、3-0の判定勝利。ONE初戦を完璧な内容で飾った。

 

▪️静かなる圧力、崩しの構築者

試合は開始直後から与座の“見えない圧力”で展開を支配。オーソドックス同士の構えの中、与座は巧みに距離を詰め、左インロー、左カーフ、そしてミドルキックを緻密に織り交ぜていく。決して派手な一撃ではない。しかし一発ごとに計算されたダメージの蓄積が、やがて対戦相手の足元と心を蝕んでいった。

オスマノフのバックスピンキックや飛びヒザといった奇襲技も冷静に見切り、応じず。逆にカウンターの右ローやインローでバランスを崩させ、攻撃の芽を摘み取っていく。リング上の与座は終始落ち着いており、まるで一手先、二手先を読んでいるかのような試合運びだった。

 

▪️“蹴りの方程式”を解ける者なし

2R以降、与座のスイッチスタイルが試合をさらに複雑にした。サウスポー、オーソドックス右を自在にリングをサークルしながら、距離をつめて左右のローキックと三日月蹴りを的確に打ち分ける。この「蹴りの方程式」を、かつて無敗を誇ったオスマノフですら攻略することはできなかった。

相手のオスマノフが足を効かされてバランスを崩すたびに、即座に追撃のローとインローで揺さぶりをかけ続けた点だ。

その冷静な対応力と、ディフェンスの堅さ。さらには、最終ラウンド後半に、

胴回し回転蹴りというサプライズ・パフォーマンスも混ぜる余裕。

試合終盤には、完全に勝負を理解したかのように、顔面前蹴りや左ストレートを叩き込み、王者としての風格すら漂わせた。

 

▪️「夢見てた舞台で勝てた」― だが夢の始まりは、まだ序章

試合後、与座はリング上のインタビューで「夢見てたONEの舞台で勝ててうれしい」と笑顔を見せた。だが、これはあくまで序章。彼の蹴り技術と戦略眼は、今後ONEのライト級戦線において確実に脅威となる。

世界中から猛者が集うONEの舞台で、与座が空手ベースの日本直伝の“蹴りの支配力”を、世界で通用することを見せつけてくれる期待が高まるばかりだ。