アルド、計量失敗からフェザー級で敗戦―2度目の引退表明「もう身体がノーと言った」

2025.5.11

【©️ZUFFA LLC】

 

2025年5月10日(日本時間11日)、カナダ・モントリオールのベル・センターで開催された『UFC 315: Muhammad vs. Della Maddalena』にて、元UFCフェザー級王者ジョゼ・アルドがエイマン・ザハビとのフェザー級戦に判定で敗北。試合後、アルドは2度目の引退を表明した。

 

▪️キャリア初の計量失敗、急遽フェザー級に変更

当初はバンタム級での一戦として予定されていたが、38歳のアルドが体重を落とせず、試合当日に両者の合意によりフェザー級での実施が決定。アルドにとってはキャリア42戦目にして初の計量失敗となった。ザハビにはその代償としてアルドのファイトマネーの一部が渡された。

バンタム級ランキングではアルドが11位、ザハビが15位。両者にとっても重要な一戦だったが、直前の階級変更により流れは不確かなものとなった。

 

▪️ザハビの冷静な戦略、アルドの追撃を封じる

試合はフェザー級5分3Rで行われ、地元カナダのエイマン・ザハビが3-0(いずれも29-28)の判定で勝利。ザハビはこれでUFC6連勝となった。

序盤からアルドが前に出て積極的に攻撃を展開。右ミドルやアッパー、膝蹴りでザハビを押し込もうとするが、ザハビもジャブやローで応戦し、リズムを崩さない。2Rではプレッシャーを強めたザハビがケージ際に追い込む場面もあり、互いに譲らぬ展開となった。

3Rではアルドが膝蹴りからダウンを奪いかけるも、ザハビはすぐに立ち上がり、冷静に対応。アルドがグラウンドに引き込む展開となったが、ザハビは上から肘を落としてカットを奪い、終盤まで主導権を維持した。

▪️ザハビ「チト・ヴェラと戦いたい」次なるターゲット明言

勝者となったザハビは試合後、興奮した表情でこう語った。

「彼(アルド)は8ポンドもオーバーしていた。でも自分は試合を受けた。それがファイターだ。第3ラウンドは確かに揺さぶられたけど、マインドセット・コーチに教えられた通り、冷静さを保った。次はチト・ヴェラと戦いたい。ランキング上位に食い込みたい」

彼はまた、家族やコーチへの感謝の言葉も忘れず、地元ファンの前での勝利に喜びを見せた。

 

▪️アルド、涙の引退表明「これは最後。心がもうないんだ」

敗戦後、アルドはグローブをマットに置き、感情を抑えきれない様子で語った。

「もう無理だと思った。今週はとてもタフだった。減量だけの問題じゃない。いろんなことが重なった。身体が“ノー”と言ったんだ。これ以上、戦争のような試合には出たくない。心がもうここにないんだ。これは最後。これが僕に会う最後だと思う」

2022年に一度引退し、殿堂入りを果たした後、2024年に現役復帰。ボクシングにも挑戦するなど、精力的な活動を続けていたアルドだが、ここでふたたび戦いに幕を下ろす決意を固めた。

“キング・オブ・リオ”の異名を持ち、UFC初代フェザー級王者として一時代を築いたジョゼ・アルド。通算32勝10敗(UFC14勝9敗)、その華麗なキャリアは格闘技史に刻まれ続けるだろう。