米メジャー前田健太投手、自由契約へ
▪️米球界での去就に注目集まる一方、日本球界復帰の可能性も浮上
米メジャーリーグ・デトロイト・タイガースは現地時間5月7日(日本時間8日)、投手・前田健太を自由契約とするため、ウエーバー公示の手続きを取ったと発表した。今季ここまで防御率7.88と不振が続いていた右腕は、すでに今月1日にDFA(事実上の戦力外通告)となっており、今回の手続きにより、ウエーバーを経ていずれはFA(フリーエージェント)となる見込みだ。
▪️キャリア晩年に差し掛かる右腕、今後の選択肢は
現在36歳、メジャー10年目を迎えている前田は、今季タイガースのブルペン要員としてシーズンをスタート。だが、7試合に登板して白星なし、防御率も7点台と苦戦が続いていた。
前田は2015年オフにポスティングシステムを利用し、広島東洋カープからロサンゼルス・ドジャースへ移籍。その後ミネソタ・ツインズを経て、2023年にタイガースと2年総額2400万ドル(約34億8000万円)で契約した。契約2年目となる今季、序盤での不調により構想外となった格好だ。
現時点では米球界での現役続行を希望するとの見方が強い。これは、メジャー在籍10年を達成すれば支給される年金制度の条件を満たすためでもある。だが、本人が過去に繰り返し語っていた「最終的には日本でプレーを終えたい」との意向から、日本球界復帰の可能性も否定できない。
▪️日本復帰なら古巣・広島が有力か
仮に日本復帰を選択した場合、注目されるのは移籍先だ。第一候補として挙がるのは、やはり古巣・広島だろう。
在籍時には背番号18を背負い、ノーヒットノーランを含む数々の実績を残した前田。メジャー復帰後の日本球界再挑戦という点では、かつての先輩・黒田博樹氏の姿とも重なる。黒田氏はヤンキースでエース格として活躍した後、2015年に古巣広島に復帰。新井貴浩(現広島監督)とともにチームの黄金期を支えた。
ただし、現在の広島は支配下登録選手が68人と上限70人に迫っており、補強には慎重にならざるを得ない状況だ。シーズン途中の怪我人対策なども考慮すれば、前田獲得には熟考が求められる。
▪️他球団の動向にも注目
一方で、先発陣の整備が急務となっている読売ジャイアンツも有力な移籍先とされている。エース格と期待された戸郷翔征が序盤不振で一時離脱したこともあり、経験豊富な先発投手の存在が求められている。
また、坂本勇人や田中将大といった“88年世代”の同世代選手が在籍していることも、前田にとっては魅力的な要素かもしれない。
さらに、先発陣の不安定さが浮き彫りとなっている東京ヤクルトスワローズも、巻き返しの切り札としてベテラン右腕の動向を注視しているとされる。チームは現在リーグ最下位に沈み、投手防御率もリーグワーストの状況にある。
通算10年を迎え、キャリアの節目に立つ前田健太の今後の決断に、日米双方の球団関係者が注視する。