衝撃のKO敗戦・・・武尊は試合前に肋骨と胸骨を骨折していた
衝撃のKO敗戦、武尊は試合前に肋骨と胸骨を骨折していた
【撮影/松永直之】
3月23日、さいたまスーパーアリーナで開催された「ONE」の試合で、
K-1元3階級王者の武尊選手が
元ONEフライ級ムエタイ世界王者ロッタン・ジットムアンノン(タイ)に
KO負けを喫した。衝撃的な敗戦の裏には、
試合2週間前に2か所の骨折での負傷があったことが明らかになった。
▪️同門の野杁正明が衝撃の事実を告白
試合から2日後の25日、ONEキックボクシング・フェザー級暫定王者の野杁正明選手が都内で会見し、その事実を明かした。武尊選手とは同じ所属ジムで日々切磋琢磨する間柄であり、年齢も近い(武尊33歳、野杁31歳)。
野杁選手によると、武尊選手はスパーリング中に左肋骨と胸骨を骨折。医師から全治7週間と診断され、ドクターストップがかかっていたという。しかし、武尊選手はこの試合を欠場する選択肢を持たず、負傷を抱えたまま試合に臨んだ。
▪️試合はわずか80秒、ロッタンの左フックでダウン
試合ではロッタンの左フックを2発受け、ダウン。10カウントが数えられ、わずか80秒でKO負けを喫した。衝撃的な結末だったが、その背景には試合前の深刻な負傷があったのも事実であり、もしも万全だったらと、違う結果を想像してしまう。
野杁選手は「話すと怒られるかもしれないが、武尊君は万全ではなかった。準備期間中は過去最高の仕上がりだったが、試合前にあばらと胸骨を骨折し、練習すら満足にできなかった。呼吸すら苦しい状態で、ジムに来てもすぐにうずくまって動けなかった」と語った。
それでも、武尊選手は試合を諦めなかった。「彼にとって欠場という選択肢はなかった。僕としては万全の状態で世紀の一戦に臨んでほしかったが、彼はリングに立つことを選んだ」と悔しさをにじませた。
▪️誹謗中傷を懸念してSNSでフォロー
野杁選手はこの事実を武尊選手に事前に伝えずに公表。
「彼は絶対に自分から言わない。でも誰かが言わないと伝わらないし、真実を隠したまま批判されるのは悔しい」と、発言の意図を説明した。
さらに、会見の2時間後、武尊選手本人がSNSを更新。
「試合の準備も含めて全てが自分の実力」と潔く敗戦を受け入れた。また、野杁選手の発言が誤解されないよう、「命懸けで勝利をつかんだ正明には、祝福の言葉だけをお願いします」と投稿。
格闘技ファンの間でも、批判ではなく前向きな声が多く寄せられた。
▪️敗戦でも揺るがぬ武尊選手の価値
今回の敗戦で、武尊選手の実力に疑問を抱く声もあるが、野杁選手は「本当にあんなものじゃない。彼はまだまだできるし、ONEのベルトを巻ける人間だ」と断言する。
武尊選手自身は今後について言及していないが、その闘志と姿勢は、多くのファンの心を打った。むしろ、彼の価値と人気は、
敗戦によってさらに高まったといえるだろう。