ボクシング 井岡一翔選手、バンタム級転級初戦をKOで突破 36歳の挑戦は「まだ通過点」
元世界4階級制覇王者の井岡一翔選手(36=志成)が、
キャリアの新たな一歩を力強く踏み出した。
12月31日、東京・大田区総合体育館で行われた
WBA世界バンタム級挑戦者決定10回戦。
世界同級11位のマイケル・オルドスゴイッティ(ベネズエラ)を
4回2分42秒KOで下し、転級初戦を完勝で飾った。
■重い階級でも揺るがなかった主導権
スーパーフライ級から約1・4キロ増。
最初に世界王座を獲得したミニマム級からは約6キロ重いバンタム級だ。
しかも相手はKO率87%を誇る強打者。それでも井岡選手は距離を支配し、冷静に試合を組み立てた。
2回には左ボディーでダウンを奪取。
4回には右のカウンターから畳みかけ、2度目のダウンを演出した。
最後はレフェリーが試合を止め、文句なしのKO決着となった。
■「変化」が生んだ36歳の進化
井岡選手は転級にあたり、トレーニング内容を大きく見直した。
筋力トレーニングの割合を増やし、「つけた筋肉をどう出力に変えるか」を徹底的に追求したという。
「今までのテクニックや感性だけでは対応し切れない」
その危機感が、進化につながった。
試合後は「まだ通過点にすぎない。バンタム級でチャンピオンに返り咲く姿を見せたい」と語り、次なる目標を明確にした。
■井上拓真選手との対戦を熱望、東京ドームにも言及
現在、井岡はWBAで挑戦権を獲得。
さらにWBCでも上位にランクされており、
WBC王者・井上拓真との日本人対決の可能性も浮上している。
井岡はリング上で「井上拓真選手と試合がしたい」と明言。
来年5月、井上尚弥選手の試合が予定される東京ドームでの開催にも言及した。
■群雄割拠の階級に現れた“異色の挑戦者”
若さと勢いが支配するバンタム級。
その中に、36歳の元4階級王者が割って入った。
引退と復帰、敗北と再挑戦を経験してきたからこそ、この一勝は重みを持つ。
日本人初の5階級制覇へ―井岡一翔選手の挑戦は、現実味を帯びてきた。

