― もう一度試合に話を戻してしまうんですが、試合当日、長南選手が応援のコメントをしていたり、セコンドに吉田選手たちがついていたりと非常に熱い仲間たちに囲まれた中でヒョードル戦に挑んだわけですよね。試合前・後で仲間たちから何かアドバイスのようなものはあったんでしょうか。 |
TK アドバイスというよりも、それ以前に練習ときに相当自分を追い込んでくれましたからね。(吉田)秀彦なんかは、自分の試合が決まっているのにもかかわらず「(練習を)やるんだったら、オレ空いてるからな」って言ってくれてずっと練習に付き合ってくれましたし、長南君なんかも、『仮想ヒョードル』というわけじゃないですけど、練習中に大振りのパウンドを使ってくれたりしたんですよ。自分からは一切そういう要望を出していないんですけど、自分のことを考えて、そういうことを自らやってくれたんですよ。そういう意味で、体を通して「がんばってくれ」って言っているのがよくわかりましたよね。 |
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― 僕自身、高阪選手というと『仲間同士の繋がり』というイメージがすごく強いんですよ。だから、そういうところで励まされたり、糧になったりした部分はたくさんあったんだろうなと思ったんですよ。 |
TK やっぱり、それはありますよ。それと、仲間が常に周りにいてくれて、そういう連中ががんばっている姿が目の前にあるのもすごく刺激的なんですよ。そこでは先輩も後輩も関係なくて「あいつががんばっているんだったら、オレもこのくらいやってやる」みたいな気持ちだけがあるんですよね。自分は、これはスポーツ全般的に言えることだと思うんですけど、特に格闘技においては、お互いが刺激し合う状態っていうのが絶対的に必要だと思うんですよ。もちろん、若い選手の中にはまだそういうものに気づけていない選手もいますよ。でも、そういう輪の中にいられるっていうことは非常に恵まれた状態だと自分は思うんですよ。だから、そういうことの重要さというのを噛み締めて、それがどれだけ自分の力になるのかというのを考えていくべきですよね。 |
― 確かに、格闘家の選手にとってはチームというものを非常に大切にする部分というのが強くあると思うんですよ。でも、その中でも阪選手を中心とした周りの状況って特別な感じがするんです。なんていうんですかね、人を引っ張っていく『吸引力』のようなものが確実に発生していると思うんですよね。それは外から見ている人間からもすごく感じるところなんですが、ご本人としてはそのことはどう思っているんですか。 |
TK 人って、同じ志を持った人に集まっていくじゃないですか。その中で自分がプロでやるようになってからずっと考え続けているのは、やっぱり基本的に『攻撃の姿勢を忘れないこと』、『前に出ること』なんです。つまり、今何をしなければいけないのかということを常に考えるということですね。そんな風に思って自分はここまで進んできたので、同じような気持ちの選手に対しては同じ波長を感じるのは当たり前のことなのかなと思うんですよ。そのような関係の中で、たくさん練習をしていって、しかもお互いにプラスになるようであれば、自然とそういう『仲間』という意識も発生していくんじゃないのかなと思いますね。逆に自然にそういうことがなかったというのだとしたら、それ以上発展していかないと思うんです。そうじゃなくとも、性格も考え方も目的もバックボーンも、何から何まで全然違うわけですから。でも、そんな中でも、『志』さえ繋がっていれば、全員一緒に混じって何かができるわけです。どんなことでもそうじゃないですか。こういうことって、すごく必要なことなんだって思いますけどね。 |
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― ご自分の中で『吸引力』があるという自覚はありますか。 |
TK 『吸引力』っていってもねえ(笑)。でも、自分は子供のときから「仲間や友達は大切にしろ」と言われて育ってきたんで、自然とそういう風になったのかもしれないですよね。 |
― 高阪選手を見ていると、友達がどこかでいじめられているとすぐに駆けつけて守ってあげるというような番長的なイメージが非常に強くあるんですけど、実際小さい頃はどうだったのですか。 |
TK いやね、自然とそうなってしまった部分はあったかもしれないですけど、自分では全然気づいていなかったですよ(笑)。例えば、高校の柔道部のときもそうだったんですけど、自分自身はそこまでめちゃめちゃに強かったわけじゃなかったんですよ。いや、確かに強かった部分はありますけど(笑)、そういうところとは関係のないところで、二年生の春くらいのときに先輩から「お前がキャプテンな」って言われていたんですよ。そういう風に自然となってしまうことはありましたね。 |
― では、最後の質問になりますが、今年一年どんなことをやっていきたいと考えていますか。まずは、今回第一戦目となったPRIDEの中の話から教えてください。 |
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TK やっぱり、ヒョードルともう一度闘いたいですね。次こそ勝ちたいと言うものも当然あるんですけど、やり残したことが多すぎてまた新しいしこりができてしまったんですね。だから、それを全部清算して勝利を飾りたいというのが結構ありますね。ただ、この格闘技のような勝負事の世界では、勝った人間こそが一番偉いのであって、負けた人間はものを言える立場になれないんです。自分自身それくらい厳しい世界だと思っていますし、それだけ一試合の重みというのを感じているんです。だから自分からは何も言えないですね。逆に「今度試合をやらせてもいいんじゃないか」と思ってもらえるような状況を自分から作り出さないといけないと思うんです。ヒョードルだってあれだけの実績をつけたからこそあのリングスのときの再戦をしたいと言えたわけですから、自分もそういうところまでいけるようやっていこうと思っていますよね。 |
― では、今回の試合がPRIDEの第一戦目という形になったわけですが、今後はPRIDEを主軸にして試合していくと受け取ってよろしいんですか。 |
TK いや、自分は強い選手と闘えるのであればどこのリングでも上がるつもりでいますよ。そういう意味では、今までどおりに試合をしていこうと思っていますよ、もう、そこについては相手と自分の『志』次第ですよね。それがうまく合致した場所であればどこでも闘いにいきますよ。 |
― あと今年はジムのことですよね。 |
TK そうですね。今までの『G‐スクウェア』を移転、独立させる形で、今度は『A‐SQUARE』として新しく発進させようと思っているんです。この構想は去年くらいからできあがっていたんですよね。というのも、最近になって『チームアライアンス』でやっている選手たちが色々と活躍できるようになってきたので、自分たちが腰を据えて練習できる『環境づくり』をしたかったんです。そういう場所があれば、思いついたこと・やりたいことをすぐに実践できるようになるわけですからね。だから、このタイミングでやってしまったほうがいいと思って、独立を決意したんです。 |
― 今後の目標などはあるんですか。 |
TK 大きく分けて二つの柱の上でジムをやっていきたいと思っているんですよ。一つはプロ格闘家の育成。あともう一つは、一般の人に格闘技をもっと知ってもらうということなんです。格闘技に興味がある人でも、「いざジムへ!」となると少し抵抗があると思うんですよね。そういうのを少しずつなくしていって、もっといろんな人に格闘技の楽しさを知ってもらいたいと思っているんですよ。 |
― では、新しいジムが完成したときには、また再び取材をさせていただきますよ。では今日はお忙しい中、本当にありがとうございました。今後のご活躍、楽しみにしていますね!! |
[プロフィール]高阪 剛
■所属 アライアンス
■生年月日 1970年3月6日生
■出身地 滋賀県
■身長/体重 181cm、105kg
■バックボーン 柔道
■対戦成績 81戦45勝33敗3引き分け
■戦績
●VSエメリヤーエンコ・ヒョードル (1R ドクターストップ) PRIDE 武士道 其の六
〇VSロン・ウォーターマン(5分3R判定(3-0)PANCRASE 2004 BRAVE TOUR
スーパーヘビー級タイトルマッチ
*これにより阪が初代スーパーヘビー級チャンピオンに
●VS田村潔司 (15分51秒腕十字)U-STYLE1周年記念大会
『高阪TK剛 オフィシャルホームページ』http://ryuproj.com/tk |
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