INTERVIEW
須藤元気
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アルバート・クラウス


新田明臣





― どうしてですか?
須藤 僕、机の上に「野上命」って書いていたんですよ(笑)。
〔一同、大爆笑〕
須藤 みんなにそのことを突っ込まれると「オレじゃねえよ!」って必死に答えるんですけど、どう考えたってそんなことをやるのは僕しかいないんですよ(笑)。
― そんな風に三年間もそんな思いをあからさま(・・・・・)に持ち続けたわけですが、告白したときのシチュエーションというのはどういった感じだったのですか。例えば、校舎裏で二人っきりで話をしたのか、それともみんなが大勢いる中で話しかけに行ったのか、いくつかパターンがあると思うんですけれど。
須藤 やっぱり、僕はシャイでしたから、自分から声をかけてというようなことはできなかったんですよ。だから、友達に頼んで呼んできてもらって、どうにか話ができたという感じだったんです。でも、僕が三年間ずっと「野上さん」のことが好きだったのを本人は知っているわけですから、当然彼女はその日僕が告白するのをわかっていたんですよ。卒業式ですし、それを逃したらあとはチャンスがないのは明白でしたから。そんな中、僕は準備していたセリフでどうにか告白を済ませたんですが、彼女もなかなか変わっている人で、「いきなりは答えられないんで、あとで返事を連絡します」ってまるで文章を読むかのように話すんですよ(笑)。
― もしかしたら、須藤選手の緊張感が伝わって、彼女の方も緊張していたのかもしれないですね。それで、その後どうなったんですか。
須藤 それが、返事を待っているときがすごく楽しかったんですよ。付き合ったらどこに行こうかな、っていうことしか考えていなかったですから。「あとで返事をするっていうことは、これは脈アリっていうことだ! これは絶対イケるぞ!」って真剣に思っていたんですよ(笑)。それで、返事がくるまでの間、待ちきれなくて何回か「野上さん」の家に電話してしまったんですよね。でも、電話が出たら、急に恥ずかしくなってすぐに切っちゃうんですよ。それを五回くらいやってしまったんです(笑)
〔一同、大爆笑〕
須藤 結局、返事は手紙できたんですけど、フラれた直接の原因はたぶんその電話だったんじゃないかと思うんですよね。ほんと、その時代に「ストーカー」という言葉がなくてよかったですよ(笑)。
― 先ほども司馬遼太郎さんの話が出ていましたが、〈須藤選手の好きな10の本〉というと、どんな本があがるのでしょうか。
須藤 好きな本っていうと漠然としすぎていて難しいですね。例えば、小説だったら小説に絞って、そこから五冊ずつ選んでいく形でいいですか?
― もちろん、かまいませんよ。では、今話に出ていた司馬遼太郎さんの『空海の風景』以外の作品五つと、もうひとり須藤選手が好きだという作家・村上春樹さんの小説五本でいってみましょうか。
須藤 そうですね。まず司馬遼太郎さんの作品では『峠』が一番好きですね。その次に『竜馬がゆく』、『新史太閤記』、『国取り物語』、『翔ぶが如く』に『世に棲む日日』という順ですね。でも、考えれば考えるだけどんどん好きな作品が出てきてしまいます。やっぱり五つに絞るのは難しいですよ。
― 村上作品ではどうでしょう。
須藤 村上春樹さんの作品だとしたら、一番好きなのは『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』。二つの世界が同時進行していって、最後にひとつにつながっていく世界観がとても面白いんです。あと、あの有名な『ノルウェイの森』も好きです。他には『羊をめぐる冒険』と『ダンス・ダンス・ダンス』の連作。それに『国境の東、太陽の西』ですね。
― なるほど。では、次の質問にいきましょう。今年の夏、須藤選手が出演された二つの映画が公開されますよね。
須藤 『フライ・ダディ・フライ』と『鳶がクルリと』(いずれも東映)ですね。
― やはり、最近役者としての活躍が著しい須藤選手にとって、好きな映画作品にも様々なこだわりがあると思うのですが、その 〈好きな10の映画〉を教えていただけますか。
須藤 好きな映画は、まず『ユージュアル・サスペクツ』ですね。
― いきなり熱いチョイスですね。カイザー・ソゼ、確かにかっこいいですよね。
須藤 そうなんですよ。すごくいいですよね。……次に、『少林サッカー』。
― あれ? いきなり色が変わりましたね(笑)。
須藤 僕、いろんなジャンルの映画を観るようにしているんですよね。あと、ロビン・ウィリアムズの『奇跡の輝き』。ロバート・デニーロとアル・パチーノの『ヒート』。デニーロ繋がりで『タクシードライバー』も大好きです。他には『ガンジー』、『プラトーン』。
― 『プラトーン』は圧巻ですよね。
須藤 すごいですよね、心に突き刺さってくるものがありますよ。あとは『レナードの朝』『ライフ・イズ・ビューティフル』、『アメリカン・ビューティ』ですね。
― 須藤選手は、アニメ作品はご覧にならないんですか。
須藤 大好きですよ。特に宮崎駿作品はどの作品も大好きです。
― ベスト5をいうとしたら、どのような作品があがるのでしょうか。
須藤 そうですね、まずは『天空の城ラピュタ』『風の谷のナウシカ』『魔女の宅急便』、それに『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』という感じでしょうか。
― 『天空の城ラピュタ』が一番好きなんですか。
須藤 そうですね。宮崎駿作品はどれもすごいんですけど、やっぱり『天空の城ラピュタ』が一番心に残りました。小さい頃は作品の中でキーポイントになっている「飛行石」にずいぶん憧れましたよ。
― 例えば宮崎映画の有名な作品で『となりのトトロ』という作品がありますが、それは入らないんですか。
須藤 あッ、忘れていましたえーっと、どこに入れようかな……。ベスト5というとなるとけっこう難しいものですね。『ハウルの動く城』もよかったし、『千と千尋の神隠し』も幻想的でよかったんですよ。でも、『となりのトトロ』の主人公の「サツキ」「メイ」や、使われている田舎の風景も好きなんですよね。『魔女の宅急便』に関しても、あの作品を観た後は海外の街並みに憧れましたし。うーん、難しい。……そうですね、やっぱり、ベスト5に入れるとしたら『ハウルの動く城』ではなくて『となりのトトロ』の方ですね。
― 他の作品で好きなものはどういったものなんでしょうか。
須藤 宮崎駿さんの監督作品ではないんですが、『耳をすませば』や『おもひでぽろぽろ』も次点に入るほど好きです。やはり、ジブリ作品はどれをとっても素晴らしい作品ばかりですね。
― では、次は内容をがらりと変えまして〈今までに許せなかった一〇のこと〉というのをお聞きしたいんですが、どうでしょうか。誰かにキレてしまったことや腹が立ったことなど、大まかな内容でかまいませんので。
須藤 でも、僕、日常生活の中でキレるようなことってあんまりないんですよ。僕の世界観というのは、僕が思ったり、しゃべったり、行動したことが投影されて現れているわけです。だから、キレたり怒ったりすることは、すべて自分が引き起こしたものなんですよね。そういうことでたまたまっていうことはありえないですから。例えば、「この人、嫌だな」と思う人がいるとするじゃないですか。でも、結局、それは自分が作り出したイメージなんですよ。人っていうのは常に中立な存在だと思うんです。それをどうやって意味付けていくかというのは自分の決め方にかかってくるんですよ。そういう風に考えるようになってからは全然キレなくなりましたよね。
 なるほど。確かにマイナスで物事を考えていたら、どんどんそっちの方に引きずられていきますしね。そのような感じだと、やっぱり、結果的にあまりよくない方向に行ってしまうことが多々ありますよ。では、最後の質問をさせてください。今そういうマイナスイメージの話が出たので、今度は反対にプラスイメージの話をしましょう。例えば、〈今までお世話になった10の選手〉なんていうのはどうでしょうか。
須藤 ……10人ですか? たくさんいすぎて選びきれないですよ(笑)。あえて言うんだったら、寝技が独創的でトリッキーな『矢野(卓見)さん』、すごくファンキーな空手家の『塚本(徳臣)さん』、すべてが真っ直ぐな方向に進んでいく『五味(隆典)くん』ですね。でも、僕は他にもたくさんの人にお世話になっていますから、一概には言えないですね実は僕、いろんな方のおいしいところばっかりを教えていただいてきたんですよ(笑)。前田(健作)さんからは一番最初バックブローを習いましたし、新田(明臣)さんにはK‐1での闘い方というものを教えていただきました。やっぱり、今までの周囲のフォローがあってこそ現在の僕がいると思うんです。だから、本当にみなさんには今も心から感謝していますね。
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